終末の法則
「なにっ!この法陣の結界が効かぬとは」

 勇者は奇夢露の絶対防御陣を風の加護を得ることによってすり抜け、祭壇上の奇夢露にショルダーアタックを掛けた。

 メイル・オブ・エアの空気装甲が勇者の気を受けて過剰反応し、衝撃波を奇夢露に叩き付けた。その衝撃波で奇夢露は祭壇から、弾き飛ばされた。

「ぬううっ、そうか、伝承者め、勇者に付きっきりで修正しているな。道理で時間進行が曖昧になっていると思ったわ」

「なにをごちゃごちゃと!」

 勇者はよろめく奇夢露をエア・ソードで横薙ぎに斬りつけた。

 ブレードは難なく奇夢露の胴を切断し、下半身と上半身を切り放した。

 邪神に精気を捧げ、枯れ枝のようになっていた彼の身体は、乾いた音を立てて地に落ちた。

「ここまでか、しかし、これは敗北ではない。所詮お前も伝承者の言いなりになっているだけの操り人形に過ぎない。お前の言っていることは、結局奴の都合のいいように言わされているにすぎん。本当の名も思い出せぬ表層だけの勇者なぞに世界が救えるものか」

「本当の名?どういう事よ。クロウの言ってたことと関係あるの?」

「ふっ、それこそ、自分で考えたらどうだ。言葉に支配されし勇者よ」

「言葉?」

 そこで、奇夢露は息絶えた。
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