終末の法則
 全く、最後まで変なことを勇者に吹き込んで……しかし、これで邪神ヴァンズールの復活はなくなりました。

 ヴァンズールに貢がれた魂も解放されるでしょう。

 いやあ、めでたしめでたしです。

 さぁ、世界を救ったあなたには、英雄として、次の世を治める権利があります。

 当然、治めてくれますよね。私も微力ながら手伝わさせていただきますよ。

 おや?どうしました。

「ずっと、ずっと何かが変だと思っていたの」

 はい?

「そう、呪縛はまだ続いていたのよ。言葉の呪縛が。クロウが教えてくれたの。やっと思い出した、あたしの名前。あたしは勇者なんかじゃない。あたしは……」

 いいえ、あなたは勇者です。勇者カウストロ・雷電・デイアメイアです。そして、この荒廃した世界を再び統治する王となるのです。これはもう歴史になっていることです。さあ、一緒に世界を治めましょう。

「いいえ、あたしは勇者なんかじゃないわ。これは全てあなたが書いたシナリオよ。あたしの名はマフィス・麗・デイアメイヤ、『富と豊穣』を意味する者。決して、『力と殺戮』を冠する者ではない」
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