終末の法則
 まったく、最後の最後でこうですか、せっかく黒騎士役から勇者に取り立ててさしあげたのに。

「それって、もしかして」

 そうですよ。もともとクロウとか言う男に勇者役をさせるつもりだったのですが、奇夢露に先を越されましてね。仕方なく、黒騎士役だったあなたを勇者に抜てきしたのです。

 本当、大変でしたよ。歴史に合わせるのに。

 ほら、今ならまだ間に合います。勇者カウストロ・雷電・デイアメイアとなって統治してくださいな。

「断るわ。結局あなたが創った偽りの世界なんて嫌よ。あなたがその時晶球を使って言葉で支配している世界なんて、それこそ誰も望んでいないわ」

 そんなことはありません。言葉なくして人は成り立たないのです。その言葉を支えているのがこの時晶球です。時晶球が言葉に意味を持たせ、世界のコミュニケーションを成り立たせているのです。

「いいえ、あたしはそんなことを言ってるんじゃないの」

 は?
< 17 / 24 >

この作品をシェア

pagetop