終末の法則
 特別に呪紋を書き足してメイル・オブ・エア、つまり高圧の空気の鎧を付加させていただきました。短剣の方も同様にエア・ソードにしてあります。これで装備的には互角のはずです。

「エア・ソード?まさか風船じゃないでしょうね」

 は?ブレードの周囲に高圧で高周波振動している空気を纏わせた剣ですが、なにか?

「いや、そういう名前のおもちゃが昔あったからね。いいのなんでもない」

 そうですか、なら、早く相手して下さい。待ちくたびれていますよ。

「へっ?」

 仮面の黒騎士は、ゆっくりと魔刀、無限の刃を抜き、青眼に構えて一歩近付いた。

 それだけで、勇者にはその存在が一回り大きくなったように感じられた。

「よく来たな、勇者よ。さあ、我々の運命に決着を付けよう」

「運命だかなんだか知らないけど、あやふやなものに決着を付けるのは大賛成よ。さぁ、ちゃっちゃとやっちゃいましょ」

「ふっ、変わってないな。昔から」

「あら、もしかして、知り合い?」

「運命の前ではどうでもいいことだ。行くぞ」

 黒騎士は無造作に斬り込んできた。
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