余命一カ月の僕
「私は今幸せよ」


春香は安心しきった顔で
先生の胸に抱かれている。


「だって世界で一番好きな人に
抱かれてるんだもん」


春香は先生の顔を見上げる
とこう言った。


「もっときつく抱いて。

私の身体がどこかへ
飛んでいかない様に

きつく抱いて」


静寂が支配する教室で
二人は抱き合ったまま。


7人の死体も
何も言わず床に倒れていた。
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