余命一カ月の僕
あそこは春香が入って行った建物だ。


僕はのどをごくりと鳴らす。


「まあ、入れてくれって言っても
入れないけどな。ははは!」


男はそう言うと立ち去って行った。


僕はもう追う気力も無く
立ち尽くす。


白い建物を茫然と
眺めるだけ。

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