鏡の法則
はじめての彼氏
私は今日、中学生になった。
朝から騒々しい家。騒々しい母。
「葵!早く起きて!準備しなさい。」
母に急かされ、起こされた私。
飯田葵(イイダ アオイ)
朝はどうしても気分があがらないのだ。
だから母の言葉に返事をするわけでもなく、無言で支度をする。
学校での私は、こんな冷血な人間ではない。
周りにどう見られているかは知らないが、きっと明るく活発な人間だと思われているだろう。
自分を作るというのは、疲れるものだ。
『いってきます。』
私は家を出た。
そして咲の家へ向かう。
「おはよーっ!」
元気に家を飛び出してきたこの子は、近藤咲(コンドウ サキ)。
『おはようっ!』
笑顔で咲を迎えた私。
この笑顔が本物かどうかは、誰にもわからない。
咲にも、私にも。