クリスマス・ハネムーン【ML】
「さあ……はやく……さとう……」

 佐藤だって、ハニーに時間が無いコトを良く知っていた。

 僕に再三促され。

 やっと、自分の口に、薬を含むと。

 恐る恐る。

 そして、おずおずと、唇同士を重ね合わせた。

 最初は軽かったその口づけが。

 薬を喉に滑り込ませるほどに、深くなったのを見て。

 僕は、静かに目を閉じた。





 ……終わった、と思った。



 大切に。



 大切に、はぐくんでいきたかった僕の恋が。


 今、この瞬間に。


 終わってしまったのだと、思った。




 ……

< 110 / 174 >

この作品をシェア

pagetop