クリスマス・ハネムーン【ML】
「え……」

 と。

 戸惑う僕を見つめて。

 今まで、鋭い、刺を含んだ微笑みから。

 とても、優しい眼差しに変えて、ハニーは、言った。



「……君の事だよ。螢くん」


 ……


 そんなこと言ったって。

 ハニーとしては、岩井を捕まえて事件終了、なんだろうけれど。

 僕の中では、なんの解決にもなっていなかった。

 僕につきまとう過去は、きっと岩井だけじゃない。

 もしかしたら、この先。

 やって来るかもしれないもっと強力な誰かに。

 ハニーが傷つけられるのを黙って見ているワケにはいかなかった。

 もし、僕と別れることで、ハニーの安全がはかれるのなら。

 僕は、やっぱり、身を引く方が良かった。







 ……なんて、本当は。




 それは、言い訳。


 
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