クリスマス・ハネムーン【ML】

 『結婚』する前から。

 ハニーとの付き合い始めから。

 過去の話は……僕が、何をして生きて来たかは、ちゃんと彼に話し……

 裏にまわらなければ、ショーパブか、ホストクラブに見える。

 僕の勤めてた『店』に連れては、行ったことはあるけれど。

 それでさえ、僕は、自分の都合の良い所しかハニーに見せてなかった、と思う。

 ……僕の見せたい『僕』が、全部だと思って欲しかったのに。

 過去から、やって来た人間に。

 ハニーに見せたくなかった僕の本当の姿を、暴かれるのが、イヤだった。

 変えようも無い過去が、原因で、大好きなハニーに嫌われたくなんて、なかった。

 ゆっくり、近づいて来るハニーにあとさずり。

 距離を取りながら、僕は、言った。

「……だから、ダメだって。
 僕には、新しく、好きな人が……」

「……それは、岩井君への、言い訳でなく。
 本気で言ってるのか?」

「人は、心変わりする生き物で。
 相手が警官なら、安心だって、ハニーも言っていたじゃないか!」

「……それは、君の言っていた『新しい恋人』がジョナサンで。
 彼とは、昨夜。
『作戦』を練るために、ずっと話し会ってたからな。
 君に迫って、手ひどく振られた話を散々聞いていたから、余裕があった」

「……」

「最初は、一目惚れしたと告白して振られ。
 次に、岩井君の所から、格好良く救い出したはずなのに、ダメだったと、頭を掻いていたぞ?」

「……」

 ハニーに指摘され、思わず、足を止めれば。

 彼は、あっという間に、距離を縮めて、僕の手首を掴んだ。

「痛っ……!」
 
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