クリスマス・ハネムーン【ML】
だから、見ろ、と。
ハニーが、この世界を覆う壁を叩けば。
白い壁は、あっさり砕け散り……僕は。
ケアンズの現在の姿を見た気がした。
この街中に居る人々が、ほとんど、全て倒れて意識を失っている姿を。
その中には、佐藤がいた。
ジョナサンがいた。
独房に繋がれた岩井の姿も、ハニーをさらった環境保護団体の人間も。
それだけじゃなく、僕達とは全く関係無い人々も、全て。
「ハニー!!!」
なんて、ことを!
勝手に涙が流れて来る。
僕は、ただ。
君と一緒に生きたかっただけなのに。
何が、どうして、間違ってしまったのか。
苦しい、苦しい息の下。
意識が、薄れてゆく中で。
ハニーがゆっくりと近づいてきて、ささやく声だけが、聞こえた。
「I LOVE YOU。
永遠に、君だけを愛してる」