クリスマス・ハネムーン【ML】
 ……しかも。

 そう言って、ハニーは片目を瞑った。

「私たちが、互いを愛し合えば、社会貢献にもなるし」

「……は?」

 思いもかけないハニーの言葉で。

 思わず額を放した僕に、彼はニヤリと笑う。
 

「私たちが円満なら。
 君がイラついて拳を握ることもなく、ケンカや争いも減るから怪我人が出ない。
 私もヤケになって、毒を合成しなくて済むから皆が平和に暮らせると……」

「莫迦」

 いつになく。

 ハニーの自信と自意識の過剰すぎる感じがする。

「やっぱりかなり、緊張してる?
 ……やめるのなら、今のうちだよ」

 そう。

 一歩引こうとした僕のカラダをハニーが抱きよせる。

「まさか。
 確かに、少しばかり緊張しているかもしれないが。
 君に愛されたいのは、本当だ」

 そう言って、ハニーは真剣に僕を見た。

「愛があってこそとはいえ。
 私が一方的に。
 君に押し付けてきたことだ……」

 その言葉の後に。

 極々小さく。

『岩井のようには、なりたくない』と続くハニーの言葉を僕は、聞き逃さなかった。

「……莫迦だな」

 まったく!

 野郎って生き物は。

 人を精一杯愛する時も。

 最大限に辱(はずかし)めようとする時も、結局。

 その内容は違っても『相手を抱く』ことになるから始末が悪い。

 けれども。

 僕は、ハニーに、もっと身を寄せると、笑った。

「……そこら辺の間違いも、直して行こう。
 心から愛している人に抱かれることは、とても素晴らしいことだから。
 愛されているって言う気持ちが、どんなだか、僕がハニーにも教えてやるよ?」
 
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