クリスマス・ハネムーン【ML】
「何か変なことを言ったら、私の心が離れてゆく、とは考えてないだろうな?」

 ……ぎく。

 ここでもハニーに見透かされ。

 僕は思わず動きを止めた。

 そんな僕の目を覗き込み、ハニーは自分緑の目を細める。

「私は、そんなに心の狭い男ではないつもりだ。
 君のわがままが通るかどうかは、ともかく。
 言いたいことがあるなら、話は全部聞くから。
 心までは、閉じるな」

 ……う。

 ハニーに掴まれたままの腕が、彼の心を写したかのように。

 ありえないほど、熱くなってゆく。

 そんな手を。

 僕は、振り払うことが、出来なかった。

 ハニーの熱に巻き込まれ。

 僕自身も、火照って来る。

 ……けども。

 僕の心には、確かに。

 ハニーに見透かされた僕の想いがあった。

 でも、その内容は。

 絶対に誰にも言えないことだから。

 ハニーの熱が、却って、さみしかった。

 ことあるごとに、僕の胸を痛めつける想い。


 それは。







 ……僕が『女』だったら、良かったのに。


  ……なんて。

 全く、どうしようもないこと。


 
< 27 / 174 >

この作品をシェア

pagetop