クリスマス・ハネムーン【ML】
「……何、しやがんだっ……!」

 まさか、コイツもゲイなのか……!?

 看護師である僕は、顔負けだ。

 ヒトの服を脱がすあまりの手際の良さに、一瞬、身の危険を感じたぐらいだ。

 力の入らない手で、なんとか、佐藤に服を脱がせまいと、抵抗する僕に。

 佐藤は、おおげさにため息をついて言った。

「わたしに、変な趣味はありませんよ!
 そんなに汗をかいたまま、放っておけば、風邪をひくでしょうが!
 せめて、そのTシャツだけでも、変えないと……」

「その……シャツの下を……ヒトに見られるのが……嫌なんだ……っ!」

 後は、自分でやるから、出ていってくれ、と言う僕を無視して、佐藤のヤローは、言いやがった。

「同性のわたしに、上半身も見せられないんですか……!?
 女の子みたいな抵抗は、よしてくださいね!」

 女の子、だと!?

 その発言に、一瞬止まった僕の動きの隙をついて、佐藤は一気にシャツをはぎ取り。

 次の瞬間。

 シャツを持ったまま、凍りついたように動かなくなったのは。

 今度は、佐藤の方だった。




「……相模さんって……看護師さん……でしたよね?」

「……そうだよっ!」

 佐藤は僕の上半身……特に、背中あたりを見つめて、一度ぼんやりと声を出したかと思うと。

 恐る恐る僕の肌を確かめるように手を伸ばし、なぞって初めて。

 佐藤は叫んだ。


「酷い傷……ボロボロじゃないですか!
 何をしたら、カラダ中、そんなに傷だらけになるんですか!
 しかも背中に……刺青(いれずみ)……なんて」

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