クリスマス・ハネムーン【ML】
「螢は、絶対私を裏切らないコトを判っててなお……
 佐藤君と、冷静に話をするのが難しかった。
 螢は、もう。
 私の他に、誰も抱かれないし……抱かさない……
 酒を飲めなくなったのは、君にとっては災難かもしれないが。
 私にとっては、こんなにうれしいことは、ない……」
 
 言って、ハニーは僕の耳を軽くかんだ。

 と。

 女の子相手なら、いくらでも、待てて。

 焦らして弄ぶこともできたのに。

 ハニー相手だと、快感に、極端にこらえ性のなくなった、カラダが。

 僕の意志とは関係なく、びくびくと震えた。

 そして、彼の熱を帯びてきた唇が、首を経由して。

 数え切れないほど僕のカラダにある傷を、一つ一つを確かめるように。

 舌と唇を使って、口づけてゆく頃には。

 もう。

 僕は、自分自身ではどうするコトもできないほど、火照りあがっていた。

「ハニー……も……ダメだ………」

 強い刺激に、僕の分身が勃(た)ちつくし。

 まだ脱いでいない下着とズボンに押さえつけられ、痛いほどだった。

 切れ切れな吐息の下で、なんとかしてくれ、と音を上げれば。

 ハニーは、意地悪く目を細めた。

「警告を無視した飲酒で、体調を崩して、抱かれるのが辛いか?
 ……私としても、非常に不本意だか。
 螢のために、今夜は、もう止めてやろうか?」

「莫っ……!」

 ハニーの莫迦野郎~~!

 こんな……!

 こんな中途半端で止められたら。

 僕は絶対、熱を持ってせり上がってくる切なさと、貧血で死ぬ。

 佐藤を送ったままで、服一枚脱ぐこともなく。

 涼しい顔で僕の寝転がったベッドの端に座り、それ以上動こうとしないハニーを睨んだ。

 あまりに切羽詰まって、震えるほどに悶え。

 シテくれないなら、自分で……と伸ばした手を両方とも。

 ハニーは片手でひとつかみにして、ささやく。

「一人でイクのも、許さない」
 
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