クリスマス・ハネムーン【ML】
「何するんだっ!
 手を放せよ……!」

 ハニーは、僕の両手首を放す気配もないまま。

 じたばたと、もがく僕の上に却って覆いかぶさるようにして。

 ハニーは静かに言った。

「……この先を、続けてほしいなら。
 私に、言ってほしい言葉がある」

「なんだよ! くそ!」

「……例えば……
 愛してる、とか」

「……は?」

 コイツは……っ!

 この野郎は、何考えてるんだ?

 愛してる、だなんて、そんな基本的なコト!

 こんな、熱をあげておいて放っておくようなマネをしなくたって。

 いくらでも、何度でも言ってやるのに……!

 強すぎる快楽をはらんだ熱は。

 気持ちいいけど、辛いんだ……!

 ぷう、と頬を膨らませ、ハニーを改めて睨めば。

 思いのほか、真剣に。

 僕を見つめるハニーの視線と合った。

 その姿がなんとなく。

 不安を隠したまま、粋がっている少年(こども)みたいに見える。

 ハニーも、きっと。

 僕に言えない『何か』を抱えて、自信が無くて……不安なんだ、と思った。

 力は僕よりあっても。

 ケンカや格闘技なんかの荒っぽいコトには素人のハニーの手なんて。

 やろうと思えば、簡単に外れる。

 僕は、小さくため息をつくと、本気で両手首をはずしにかかった。

 そして。

 あっという間に自由になった手で、そのままハニーの頭を抱きよせ、ささやいた。

 



「大丈夫……愛してるよ。
 僕の、ハニー」

 
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