クリスマス・ハネムーン【ML】

大騒ぎの昼間

 

「……やっと、静かになった」




 絶対、コテージの中には、ジョナサンを入れないぞ!

 と。

 勝手に中に入って来ようとした、ゴリマッチョの鼻先で。

 扉をぴしゃり、と閉め。

 ヤツが渋々、桟橋に向かって行ったのを確認して、ほっとした。

 ハニーが間もなく沖から着くはずだし。

 相手は警官だから、本気で腕力に訴えるわけにも……行かないだろうし。

 あんまりしつこいようだったら、ハニーに、何とかしてもらおう。

 そう、半分投げやりにため息をつき。

 昼飯の支度を始めた時だった。

 コテージに設置された電話がけたたましく鳴った。



 じじじじ~ん!

 じじじじ~ん!



 気のせいか、設置電話の着信音も、聞き慣れた日本の音と違う気がする。

 電話の相手は、きっとハニーだろう。

 桟橋には、ジョナサンがついた頃だし。

 佐藤や、警官であるジョナサンの相棒も含めた四人が顔をつきあわせた挙げ句。

 何か、トラブったのかな?

 なんて、あまり楽しくない想像に、僕は、嫌々受話器を取った。

「はい?
 なんか、あったのかい?」

「~~!
 ~~~~!!」

 あう!

 ハニーじゃない!

 そして、多分、ジョナサンでもない!

 電話で早口でまくしたてる聞き慣れない声は。

 完全ネイティヴ英語で、何を言って居るのか、カケラも判らなかった。

 ただ、言葉のニュアンスで、切迫感があることと。

 何か、人を脅しているような、奇妙な迫力があるのは、判る。






 これは、ただの電話じゃない!


 

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