クリスマス・ハネムーン【ML】
「警察に、連絡はしたんですか?」

「もちろん、しましたよ!
 武装グループからは、どこにも連絡するな、と言われましたが、仕方ないじゃないですか!
 この電話の直前に相談して、詳しい話を聞くって、捜査員が来る所です!」

 今から、佐藤の話を聞きに、警察が来るって!?

 じゃあ。

 あの電話は。

 僕が取った、一方的に英語でしゃべりまくられた電話は。

 警察からの、報告なんかじゃない。


 犯人からの脅迫電話って可能性がものすごく高い!


 ……どうしょう!?

 本当は、きちんと聞かなくちゃいけない電話を、あんな風に切ってしまった以上。

 また、かかって来るかも謎だし。

 そもそも。

 僕には、脅迫電話かそうで無いのかさえ、判らない。

 一瞬困って、すぐ思いついたのは。

「……そうだ、ジョナサン!」

 アイツなら、もともとハニーの担当だし。

 いくら、本人の希望とは言え。

 勝手にハニーの側から離れたから、こんなことが行った上。

 ヒトのことを勝手に、師匠呼ばわりしているんだ。

 僕が、こき使っても、文句は出ないハズだし。

 何よりも。

 待っても来ないハニーの船を待って、まだ桟橋にいるはずだ。

「相模さん?
 誰ですって!?」

「……何でもないよ!
 本当は、霧谷さんに張り付いているはずだった警官に。
 仕事をしてもらうだけだよっ!
 それよりあんたは、今、どこに……!」

「ケアンズの中央病院で、名前は……」

 ……うぁ。

 佐藤がさらっと言った病院名が聞き取れ無い。

 場所が、オーストラリアだから、当然だけど!

 アルファベットだけで出来た病院名なんて、キライだ!

 それでも、ジョナサンに、行き場所を案内させるにしたって、正確な名前は、必要だ。

 ハニーと一刻も早く会うためには、まず。

 佐藤と話し合いをしなくちゃいけないから。

 ヤツの言う単語を、一字ずつアルファベットに分解して、必死にメモ帳に書き写した。


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