カウントダウン
「出てって」
「はぁ!?俺が最初にいたんだから出てくのはアンタでしょ?」
「雅治との時間なの!出てってよ!!」
「うわっ、やっぱ変態ちゃんだ」
……ムカツク。
「……アンタ誰よ。なんで私が悠斗の彼女って知ってんの?」
一向に出ていく気配が無いから仕方なく空いてる椅子に座れば、イラつく原因の男はぴったり隣の椅子に座った。
「俺は山崎祐介。悠斗と同じクラスで、けっこー仲良いよ?長く付き合ってる割りに知らないんだね、変態彩音ちゃん」
「変態はやめて。……私の名前、知ってるんだ」
「まぁね。アンタは悠斗からダチも紹介してもらえないような“名ばかりの彼女さん”でも、俺は仲良いダチだから教えてくれたよ?」
「……そう」
いちいち逆鱗に触れる。
だけど、言われてる事は間違ってなかったから何も言い返す言葉もない。
「なぁ……」
「何よ」
「その弁当、悠斗用?」
山崎祐介の指差す方角は、未だに握り締めているランチボックスを差していた。
「そう。いらないって言われた哀れなお弁当だけど、なにか?」
「やっぱり!マズイって有名な弁当かー」
……つくづくこの男は傷口をえぐる。
「もう出てってよ」
「なに?そんなに雅治と二人っきりになりたいの?まさか雅治にエッチな事させてんの?」
「んなワケあるか!!変態は山崎君なんじゃないの!?」
ゲラゲラ笑う下品な彼は、冗談だと言いながら私の頭をモシャモシャにした。
ムカツキ度がMAXに届きそうだ。
「よし、そのマズイ弁当、俺が食ってやるよ。貸してみ?」