カウントダウン
意地悪な彼の不器用さ
【彩音 side】
もう誰にも会いたくない。
なんて、気の滅入る一日だった。
何件も入っている未読のメール。
やっと、優衣にだけは返信する事が出来た。
でも返信内容は当たり障りのないもので、今の状況は伝えられない。
悠斗に連れて行かれて翔さんに会った、その事だけは優衣にメールしたけど、悠斗の事は今後どうするのか、もう私でも分からなくなっちゃった。
30万円。
大人にとっても決して安い金額ではない。
それを悠斗は簡単に母親に渡してしまった。
だからその事ばかりがぐるぐると頭の中で巡っていて、なんで悠斗と翔さんに会ってきたのか、別れる事はどうするのか、そんな内容の返事が優衣から返ってきたけど答える気力はもう残ってない。
だって今日、頼りの父に完全に拒絶されてしまった。
考えたくない事ばかり頭に浮かぶ。
どんな事があってもポジティブに生きてきた。
ま、いっか
と
だいじょーぶ
この二つの考えが私を支えて、能天気に生きる事でどんな困難も乗り越えてきたのに、今日ばかりは今まで浮かばなかった事柄が浮かんできてしまう。
私、生まれてきて良かったの?
「やだ、厨二病みたいだよ私」
自分で自分を茶化しても、震えが止まらないくらい涙が溢れた。