カウントダウン
「ごめんね祐介、今は無理なの……」
忘れていた涙が再び溢れ出した。
「俺が、遊んでた過去があるから?」
「違うの。祐介には問題なんてない。これは私の問題」
「なら一緒に解決してやるよ。だから、何があったか話して?」
「駄目!!言えない。お願い、もう少しだけ待って……ううん、待たなくてもいい。他に好きな人探してもいい」
「アンタ馬鹿?今まで何聞いてたの?それが出来てたらとっくに彩音の事なんて諦められてたよ。待っててあげるけど、理由くらい聞かせてよ」
「……ごめん」
「どうしても言えない?」
「うん」
言えないよ。30万の借金を悠斗にしていて、返済するために頼った父親にも拒絶されてるなんて、聞いたら重いでしょ?
それに、今の祐介はなんとかするって言いそうで、それは絶対嫌だから。
頑なに理由を言わない私を祐介は突然引き寄せて抱き締めた。
「このくらい多目にみてよねー。っとに、どMちゃんの癖に放置プレイが好きだよね。分かった、待つ。でも俺……遠慮はしねぇ。悠斗にも諦めてもらうし、彩音も早く俺の女になって」
抱き締められて、耳元でそう囁かれたら、それだけで頭の中がボーっとして、力が抜けて祐介に体を預けてしまった。
「……重いんですけど、返事は?」
「は、はいっ!」
「……っとに、分かってる?ま、いいや。今日は帰るよ。明日はちゃんと学校来なよ」
「……うん」
この先、どーなっちゃうんだろう。そんなの誰にも分からないけど、ただクヨクヨと泣いてるだけじゃ前に進めない。
今以上にバイトを増やさなきゃ。
私がなんとかしなきゃならないんだから。
私を待つと言ってくれた祐介のためにも、私が何とかしなきゃ。
心の中は、もうすっきりしていた。