カウントダウン
教室に戻って慌ててお弁当を食べて、いつもと変わらない授業風景をみて、バイトに行く。
いつもと変わらない淋しい毎日が、祐介に関わった昨日から何かが変。
だって、学校でキスなんて久しぶりだし、好きなんて言葉……最近ぜんぜん言ってくれなかった。
まさかのヤキモチ?
なんて、バカみたいな考えが浮かぶ。
だけど、バイトが終わって外へ出たら、悠斗がそこにいた。
「お疲れ、乗れよ」
「なんで……?」
「お前な、自分の女迎えに来て何が悪いんだよ」
ニコニコ笑って、バイクに誘う。悠斗の後ろに乗るのは久しぶり。
どこか、変。
でも、メットを渡して、乗るときはちゃんと支えてくれる、この優しさは以前から同じ。
「ちゃんと掴まってろよ」
「うん」
こんな気紛れは、私にとって戸惑う意外ない。
あんなに別れを覚悟したのに、悠斗の体温とか匂いとか、ただそれだけで泣きたくなるくらい愛しさが募る。
酷い男なのに。私よりもお気に入りの女の子がいるのに。
私の心の奥底は、付き合い始めの頃の悠斗に愛されたいと思ってる。
初めて本気で好きになれたって言ってくれた、ずっと一緒にいようって約束してくれた、そんな悠斗に戻って欲しくて。
私、本当に弱い女。
「ほら、ついたから降りろ」
「ありがと」
降りる時も優しい。
腰を抱いて部屋まで歩く。
玄関に入るなり、突然のキス。
性急な、激しいキス。
「本当に、どうしたの?」
悠斗が、分からないよ。