カウントダウン
意地悪な彼の温もり
思い直してって言う優衣の意見があまり頭に入らない。私の中で、悠斗と一緒にいられる事の喜びの方が勝っていて、これからも以前の悠斗のままでいてもらえるって思った。
この日もすごく優しくて、取り巻きの女の子達も寄ってこない。
昼休みも長くて甘いキスをたくさんくれて、放課後のバイトは休みを代わって欲しいって頼まれて今日はなかった。
悠斗と帰りにゲーセンで遊んで、久しぶりのプリクラを撮って、ごはんを食べてからまた悠斗のマンションに帰る。
もうずっと自宅には帰ってない。もう、一人の家には戻りたくない。
「彩音、そろそろ大丈夫か?」
「なにが?」
お風呂から出て、ベッドの上。そういえば女の子の日だと嘘をついて拒んだ。
「彩音を抱きたいんだけど」
「……うん。いいよ」
拒む理由が、今の私になかった。幸せな日々が続いて欲しい。そう願っていて、心から悠斗を愛したいって思った。
「久しぶりだな、なんかドキドキする。余裕なくて優しく出来ないけど……」
「……いいよ」
ドキドキする。
私も……でも、悠斗に触れたら私と同じように鼓動が早くて、嬉しかった。
悠斗の宣言通り、激しくて、苦しくて、強い刺激で。
息をつく暇もない。
途中何度も、少し待ってって言ったのにやめてくれなくて。何度も何度も求めたられた。
だけど、嫌じゃなかった。悠斗に私の全部を好きにして欲しいって願った。
抱きしめられながら眠りについて、幸せ過ぎて嬉しくて。
なのに、
朝起きたら悠斗はベッドに居なかった。
軋む身体を無理に起こして部屋中を探してもいなくて、一人シャワーを浴びたら昨夜は夢じゃないという証拠が身体中にちりばめられていた。
ダルい身体のまま支度を済ませて学校に向かえば、悠斗の教室が騒がしかった。