カウントダウン
「相変わらず変態ちゃんだね」
「また祐介?」
「言っとくけど、雅治ってスゲー高い人体模型なんだから壊すなよ?」
ゆっくりと準備室に入って来て、ドアを閉めた。
「嫌みを言うために来たの?」
「サボりに来ただけ」
「じゃあ他あたってよ。雅治との時間だから」
「またかよ。アンタさ、ホント学習能力ないよね」
「うるさいな」
「簡単に騙されて、見てらんねぇよ」
ジリジリと歩み寄る祐介は、雅治と私の間で立ち止まった。
「別に、見ててなんて言ってないじゃん」
完全な八つ当たり。ボロボロに泣きながら、惨めな自分が嫌で消えてなくなりたかった。
「ほっといてよ……」
「ヤダね」
今度はどんな意地悪がしたいのか。もう誰かにかまっている余裕なんてないのに、祐介はヅカヅカと踏み込んでくる。
「もーやだよ……きゃあ……」
「アンタ、どーしょうもないどMだな」
一瞬の事。
思考が追い付かないまま、私が飛び込んだ先は、祐介の腕の中だった。
「は……なして?」
「ダメ。放したらアンタまた悠斗に戻ろうとする」
「関係ないでしょ?」
「俺は、バカなアンタを放っておけない」