カウントダウン
かわいくないって分かってても、ダメ出しばっかりの祐介につい睨んでた。
そしたらまた頬を赤くして、なんか少しはにかんでる。
「消さねぇよ。連絡先知らないと日曜、困るだろ。後、弁当の中味のリクエストとか」
「えー、作るの前提なの?」
「当たり前だろ?俺の制服鼻水でガビガビにしやがって」
「ガビガビじゃないでしょ!ちゃんと拭いたもん」
「文句言わずに作れよ。そしたらご褒美やるよ」
「ご、ご褒美につられる女じゃないもん」
しーんとなった準備室で、祐介は自信たっぷりの表情で幻のコンビニスイーツの名前を言った。
滅多に入荷しなくて、入荷したらすぐに無くなる幻の中の幻。
「マジで!!」
「食い付き早ェーよ。コネがあるから確実に渡せる。それと、ある程度の期間作ってくれたらどっか好きなトコ連れてってやる」
なんて……なんて気前のいい男なの?揺れる。ひとつも二つも変わらないし、悠斗はもう作らなくていいって言ったし、実質今までと変わらない。
あ、でも……。
「ダメだよ。悠斗に祐介にはもう食べさせちゃだめって言われた」
正直に伝えたら、また深いため息が聞こえた。
「アンタさ、別れんだろ?なんで言いなりになってんだよ。ああ、どMだから命令大好きなのか。じゃあ俺も命令……する?」
「する?じゃないよ!ふざけないでよ。だって、一応まだ付き合ってるし、いいなりとかじゃなくて……」
「あーもう!!彩音は今すぐ悠斗離れしろ。いいのか?悠斗は今日あのバカ女とお泊まりだぞ?いい加減目ェ醒ませ」
「…………分かってるけど」
現実から目を反らしたい自分もいて。だけど、ぐだぐだしてる自分も嫌で。
前に進む勇気もない。
そんな俯く私の顔を上げさせたのは、祐介だった。
「俺と秘密、共有しねぇ?」
「え?」
「彩音が悠斗離れ出来るように、俺が手伝ってやるよ」