カウントダウン
私の恋は、問題が多すぎる。何を信じていいのか分からない。
いそいそと働きながらチラリと祐介を見ると、カッコイイのに近付き難いオーラがでていた。
アッシュブラウンのフンワリウェーブも、大きな瞳に装着されるブルーのカラコンも、とっても似合う。
にっこり笑えばかわいい男子なんだろうけど、無愛想なあの態度からはかわいいなんて連想が難しい。
笑った顔は何度か見たけど、何かを企んでいるようなクールな笑顔だったからな〜。
ひょうひょうとしている祐介は、何を考えているのか分からない。
「彩音ちゃん、終わりの時間だよ。もうタイムカード押しといで。王子をお待たせしちゃ駄目だよ」
「別に私にとって王子じゃないです」
奥田さんはニコニコ笑って、若さについて語ってるだけ。長くなりそうだから、急いでタイムカードを押しに行けば冷やかされる。
もう、どうにでもなればいいよ。
「……お待たせ」
奥田さんから祐介が外で待ってるって聞いて、そっちに向かったら、渡されたのはピンクのメット。
「乗れよ」
「え?……ってゆーか、コレかぶっていいの?ピンクって事は彼女さんのなんじゃないの?」
目の前には祐介らしいバイクが一台。見惚れるくらいカッコイイ。素人の私だってそう思えるくらい。
そんなバイクに不釣り合いなピンクのメット。まだ新しいようだけど、明らかに女用。
なんだ、ホモじゃないんだ。
とか思ったと同時に、不安にもなる。だって、彼女さんの立場からしたら、嫌だもん。他の女の子が自分用のメットをかぶるのも、後ろに乗るのも。