カウントダウン
「おはよー」
いつもと変わらない学校。今日は足早に悠斗の教室を通りすぎたから、悠斗を見ることはなかった。
別れる日までのカウントはあと50日。
会いたくない。そんな気持ちが浮かんだ日だった。
そして、4時間目終了のチャイムと同時に振るえた携帯を見たら
“雅治と待ってる”
なんて、祐介から一言メール。
福山さんの雅治を頂戴した命名です、なんて少し話したから漢字が分かったみたいだけど、祐介もすっかり人体模型とお友達。
私の事をもう変態なんて呼べないじゃない。
「あれー?彩音ちゃんなんか良いことあった?」
クラスメイトにそんな声がかかるくらいニヤケていたらしい。
「ううん、不幸の真っ只中だよ?」
「早く別れちゃいなよ!で、合コン行こうよ」
もう私の自虐的ネタも飽きたらしく、よく合コンに誘われるけど、こんな時あしらってくれるのが優衣。
“早く祐介君のところ行きな。怒られたら泣くだけじゃ済まないよきっと”
なんて事情を知る優衣は耳打ちしてくるけど、怒られたってそんなに怖くない。噂に翻弄されちゃ駄目。
“祐介は優しいから大丈夫”
なんて耳打ち返しすれば
“だよね、どMの彩音にはちょっとやそっとじゃ効果なしだよね”
とか意味も分からない返事が返ってきて、急かされるような祐介からのメールがまたきたから慌てて準備室に向かった。