カウントダウン
「やっぱウマイよ」
何故かぴったりんこで隣りに座って、いただきますを合図にかっ込む祐介は、また嬉しい事を言ってくれる。
「よかった、ありがと」
「ニタニタ、キモい」
「うっさい」
素直になるもんじゃないな!
「俺は、この味好きだけど……悠斗は何考えてんだろーな」
……本当にデリカシーがない。忘れてたのに。祐介はヒトの心をエグるのが大好き人間か!?それプラス悪びれもなく、今日の悠斗の行動を報告してくる。
昨日泊まる約束をしてた女とは今日は他人行儀だったとか。
相変わらずのモテっぷりとか。
女に埋もれた事柄を逐一報告。
「ゆーすけ君は何か私に恨みとかあるのカナ?」
「ねーよ。てか、いちいち気にしてるわけ?溜まり場行くとこんなモンじゃねぇよ?」
「溜まり場?」
「……悠斗から聞いた事ねぇの?」
「……悠斗からはないよ」
溜まり場って、優衣がこの前話してくれた場所。優衣の彼氏さんと悠斗と祐介の先輩が仲良しで決まり事がどーたらこーたらあるとかなんとかの。
優衣の彼氏さんの話を祐介にして、ぼんやりとなら溜まり場の話を知ってるって伝えたけど、何だか祐介の表情は曇っていた。
「悠斗はさ、確かに女にはだらしねぇよ?今まで特定の女も作らなかったし、でも彼女が出来たって聞いて俺、マジで驚いた。あんなに豪語してたし大事にすんだろーなって思ってたし、実際の悠斗、スゲーイイヤツなんだよ。なのに、なんで本命を大事にしないんだろうな。あの悠斗の性格曲げるほど、彩音なんかした?」
「なんか……って?」
「分かんねぇトコで何かしたんかもよ?ま、俺には色恋沙汰なんてよく分かんねぇけど」
淡々と、いつもの祐介で言葉を発する。
でもそれは、何気ない話をしただけなんだろうか?
私は、この時なんとなく察しちゃったような気がする。
普段はイイヤツなのに、私のせいで冷たくて今まで以上に女にだらしない男になっちゃった。
そう、責められてるような気がした。
それが祐介の愛情か友情かは分からないけど。