カウントダウン
引かれた手がすっと離れて、見上げれば着いたと一言呟いて、小さいけどとてもお洒落なお店に入った。
店内には沢山のアクセサリー。
「全部手作り」
そう祐介は教えてくれた。
「かわいい」
手に取ったのはチョーカー。手作りならではで同じデザインなのにひとつひとつ違う。
「いらっしゃいま……ってなんだ祐介か」
「客だけど?」
親しそうに出てきたのはボブが似合う綺麗な女の人。
……もしかして、祐介の好きな人?
そう考えるとズキンと痛む。引き返せないところまで感情が移ってる……。
「客って……あ!きゃああ女の子が一緒だ!!!泰成!!祐介が女の子連れてきた!!早く来て!!」
「うるせーよ、呼ばなくていいから」
なに?泰成?女の子連れてきた?キョロキョロとしていたら、金髪の祐介が出てきた。
「え……?」
「泰成、ほらかわいい女の子」
綺麗な女の人は金髪の祐介の腕に絡まって甘えていた。
「俺の兄貴とその嫁」
「簡潔な説明ありがとう、お兄さんコピーみたい。そっくりなんですけど」
ポカンとしてる私に向かってぶっきらぼうに祐介が教えてくれるから、つい思った事を伝えたら目の前の女の人は吹き出すように笑った。
「おっ!ついに手に入ったのか?初めまして、兄の泰成です。こっちが美空。よろしくね」
お兄さんは祐介と違って、その口調も纏うオーラも穏やかで優しかった。
「初めまして、菊地彩音です」
「やっぱり〜」
「やっぱり?」
「余計な事言ってんじゃねーよ。まだだよ」
「ダセェ!!それでも俺の弟かよ」
不機嫌な祐介と、ゲラゲラ笑う泰成さんと美空さん。
私だけが置いてきぼりじゃん。