カウントダウン



祐介を見上げれば、いつもとまた違った真剣な表情。


それから名前を呼ばれて、それに答えて、そして少しの沈黙。







「……………場所、変える」


「え?なに?」


祐介の視線の先には、手を取り合ってキラキラの笑顔を見せるお兄さんと美空さん。


「ちょっ、祐介私たちの事は気にしないで」


「そうだそうだ。俺、弟の晴れ舞台に立ち会えてちょっとコーフンしてんだよ!!続けて続けて!!」


キラキラビームが放たれた二人の笑顔から逃げるように手を引かれながら、そのままお店を出て、無言のまま進む祐介の歩幅に少し驚きながらも私は早足でついていった。


どれくらい歩いたのかな?分からないくらいぐるぐる歩いて、どこに行くのか聞こうとした矢先、噴水がある公園の前でピタリと止まった。



「祐……介?」


息が上がる。駄目だ運動不足かも。


「……悪い」


「いいよ……でも、どうしたの?」



噴水の水が形を変えて飛沫が跳ねた。驚くくらいの大群の鳩が一斉に飛び立って空を旋回していて、ただ佇む私と祐介は、一言も話さないでただ見つめ合っていた。


見つめ合っていたと言うよりも、視線を外す事が出来なかった感じ。



「俺がずっと好きだったのはアンタだよ。気付け、バカ」



ピタリと噴水が止まった瞬間聞こえたのは、想定外の祐介の言葉だった。





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