+三人の花嫁+~BeLoved・・・xx~
one. in French~
約半日のフライトを終え、昼ごはんはルーアンにある“ラ・クロンヌ”というトコロで食べた。ラ・クロンヌは、あのソフィア・ローレンやモナコのグレース公妃もお気に入りだというレストラン。ロイもフランスに来たときは絶対に来るんだって。
めちゃくちゃおいしかった。
この旅行で二人きりになるのは、ホテルの部屋か食事のときだけ。
ロイはなにやら不服そうだけど・・・あたし達を警護してくれているんだから仕方がない。後ろからロイの部下・雪茂さんが、半径3メートルの両脇にはSPが着いて来ている。 それがロイには気に入らないらしい。
「撒く」
『へっ?!』
あたしは手を引っ張られて走らされた。
後ろから追いかけてくる足音がする。
「ユナ」
『はあ・・・はあはあっ・・・疲れた・・・』
しっ。
ロイはあたしの口元に人差し指を置いた。
だんだん雪茂さんの声も遠のいて行く。
あたしの身は解かれた。
『こんなことしたら心配かけるよ・・・?』
「どこもかしこも着いてくるのが悪い。少しぐらい二人で遊びたくないか」
『ん、まぁ・・・』
「・・・それに」
『え・・・』
あたしの声と重なったリップノイズ。
軽くだったけど、小さな空間にじんわりと響き渡った。