ごめん、好き。


俺は、ユカの言葉で沙織のことを思い返してみた。




俺と沙織が初めて逢ったのは、バイト。


おどおどしながら入ってきた沙織に俺が、オーナーのいるところに案内したんだ。


『君、高校生?』


『あ…はい。』


『そっか…、今日からよろしくね』


ただ頷く沙織。


警戒心むき出しの瞳に、俺は少しだけ笑ってるところを見てみたいなって思った。






思ったんだ。







「……ユカ、今日は帰るよ」



「分かった。」




いつもなら玄関まで送ってくれるユカ。

だけど今は、なれた玄関までの距離を独りで歩く俺。


別れるって言うのは、案外辛いもんだ。


たとえ、俺にユカを好きだという恋愛感情が薄くても。


当たり前だった関係は、あっさりと終わった。






< 25 / 35 >

この作品をシェア

pagetop