ごめん、好き。
俺は、ユカの言葉で沙織のことを思い返してみた。
俺と沙織が初めて逢ったのは、バイト。
おどおどしながら入ってきた沙織に俺が、オーナーのいるところに案内したんだ。
『君、高校生?』
『あ…はい。』
『そっか…、今日からよろしくね』
ただ頷く沙織。
警戒心むき出しの瞳に、俺は少しだけ笑ってるところを見てみたいなって思った。
思ったんだ。
「……ユカ、今日は帰るよ」
「分かった。」
いつもなら玄関まで送ってくれるユカ。
だけど今は、なれた玄関までの距離を独りで歩く俺。
別れるって言うのは、案外辛いもんだ。
たとえ、俺にユカを好きだという恋愛感情が薄くても。
当たり前だった関係は、あっさりと終わった。