ごめん、好き。
「沙織ちゃん、そろそろあがっていいよ」
お客さんが減ってくると、あたしはオーナーに言われて帰り支度を始めた。
外に出ると、もともと人通りがないだけに静まり返って少し不気味。
とりあえず大通りから帰ろうかな。
なんて考えていたら、後ろからあたしを呼ぶ声。
「沙織、途中まで送るよ!」
「へっ……いやっ、大丈夫だよ!」
マフラーを片手に、走ってきたから息を荒げている。
亮くんの格好はバイト着のまま。
そのまま来てくれたんだ。
「ユカのこと気にしてんの?」
「あ、うん」
一応、親友の彼氏だし。
いくらあたしと亮くんが仲がいいとしても、それはマズいような気がした。
それはもしかしたら、あたしの自己防衛本能かもしれない。