ごめん、好き。


なんで、亮君がいることを知ってるんだろうか。


亮君は、ほんとうにいるのかな。


あたしは、


彼に逢ってなにを伝えればいいんだろう。



それでも、とにかくバイト先に急いで向かった。




「………」




曲がり角を曲がった瞬間、彼がいた。


お店の前で立ちすくむ、彼の姿。


「りょうくん…」


「…沙織」


あたしに気づいて、亮君は優しい笑顔でこっちに近づいてきた。


「どう、して?」

「ユカに言われた。
そしたら、お前がきた」


ユカが………。


あたし、




「沙織が来た瞬間、なんかホッとした」




あたし…




「泣くなよ」




あたしに近づいてきて、亮君はそっと笑った。





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