ごめん、好き。
「亮くん、さっさと手を動かす」
「は~い」
オーナーの視線を気にしつつ、俺はため息を吐いてから掃除を始めた。
「そう言いば沙織ちゃん、風邪引いてるからしばらく休むってね」
「えっっ!?」
「あれ、知らなかったの?仲良いから連絡ぐらい来てるのかと思った」
知る訳ないじゃん。
いくら仲がいいからって、バイト仲間なわけだし…。
あっ、だから俺、アイツの連絡先知らないのか。
バイト仲間だから、知らないうちに一線引いてたのかも。
それにしても、大丈夫かな。
アイツめったに風邪とか引くようなやつじゃないしな。
「坂本さん?なんか気になるんですか?」
「なにが?」
「新山さん。風邪で辛いらしいから」
ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら、俺に近づいてくる。
「沙織ならすぐ治るだろう」
「…ふ~ん、俺ならお見舞いに行くな~」
だからなんだし!
てか、さっきからなんか意味ありげだな。
もしかして、こないだのことコイツに!?
…いや、沙織に限ってそれはないな。
アイツ、男苦手だからな。