ごめん、好き。
バイト先から沙織の家までの最短ルート。
暗いからあんまり通らないけど、前に沙織に教えてもらった。
俺はどんな顔してアイツに逢えばいいのか分からないけど、風邪で休んでるアイツが心配、だから最短ルートを通っていく。
どうしてだろう。
考えがまとまらないか、俺の頭は真っ白。
脈が速い気がした。
あっという間に沙織の家の前だ。
一一ピンポーン…
静かに家の中に響いた。
数秒後、沙織が驚いたように出てきた。
このくそ寒い2月に、うすいパジャマで。
「…沙織」
だけど、言葉が出ない。
名前を呼んだのは良いけど、その後が出てこない。
「久しぶりだね…」
静かに笑いながら、沙織は俺の直ぐ傍まできた。