パステルカラーの恋模様
「乗りま~す!」
「えっ啓太?!」
啓太が手をあげてエレベーターに向かって走ってきた。
扉はゆっくり閉まる。
「えっ、ちょっと、え~っ!」
啓太は「うぎゃ」とほっぺをエレベーターに挟まれたが、あたしが慌てて開くボタンを押したから何とかセーフだった。
息を切らす啓太。
あたしはいきなりの事すぎて、ドキドキするのも忘れた。
「啓っちゃん!!危ないでしょ、もう!」
「だって、美園いるの見つけたから、走ってきたんだよ」
目を細くして、けな気に笑う啓太。
うう、あたしはこの笑顔に弱いんだってば。
「美園、早く。5階、押して」
「あ、うんっ…」
エレベーターがゆっくり上昇していく。
啓太はふいーっと息を吹いて、前髪を持ち上げた。
そして、ネクタイをゆるめた。
ねぇ、啓ちゃん。
啓ちゃんは何気なくやってるつもりかもしれないけど…あたしはそういう仕草の一つ一つにキュンってなって、鼻血出そうになってんだからね!
だって啓太…何しても可愛いんだもん!
あたしは一人で赤くなって、啓太に背を向けていた。
やっぱりあたし、ケダモノかも?!
ふわぁ~っと、啓太があくびをした時だった。