パステルカラーの恋模様
すると啓太が冷静に、ポチっと緊急救助ボタンを押した。
そして、床にしゃがみ込んだ。
「そんな心配しなくても大丈夫だよ。すぐオーナーさんが業者の人を呼んで来てくれるよ」
「なっ何でそんなっ、落ちついてられるの?!」
「美園こそ、何、涙目んなってんの。別に雪山で遭難したわけじゃないんだから。大丈夫だよ。ほら、ここ。座ってな」
そう言って、啓太は自分の隣をポンポンと軽く叩いた。
あたしは鼻をすすってから、おとなしく言う事を聞いて、隣にちょこんと腰を下ろした。
「ふん、ふん、ふふー、ふ~」
啓太がご機嫌に変な鼻歌を歌い出したもんだから、あたしはすっかり落ち着きを取り戻した。
あたしは何気に、啓太が冷静な事にびっくりしていた。
もっと子供みたいに慌てふためくかと思ってたのに。
意外と頼りになるんだな。
「はぁ、暇だね。美園、何か面白い話ない?」
「え~、面白い話?」
啓太とばっちり目が合った時、あたしはハッとした。