パステルカラーの恋模様
あたしは微笑ましい気持ちになりながら、「えっとね」と袋の中身を見せた。
啓太は見えないしっぽを大きく振りながら、それを覗き込んだ。
「普通のあんこと、白あんと、カスタードとチョコ!」
「じゃあ、カスタード!」
子供みたいに笑う啓太に、ハイハイと言って、大判焼きを渡そうとした。
その時、手と手が触れた。
ドキッ。
思わずパッと手を離した。
急に離したから、啓太はびっくりしている。
やばい、顔が近い。
近い、のに…。
あたしはもう一度啓太の目を見た。
啓太も何やらいつもと違う様子で、あたしの目をじっと見つめている。
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。
今、あたし、“恋する乙女”の顔しちゃってる。
バレちゃう。
あたし達の熱い視線は絡み合ったまま。
今なら、ノリで“好き”って言えちゃいそうな気がする。
言うの?あたし。
言っちゃうの?
目ぇ逸らせない……。
もうダメ、クラクラする。
「…啓ちゃん…あたし……」