パステルカラーの恋模様
Chapter 6
光の街
馬鹿みたい。
我ながら笑えるよ、ほんと。
思わず啓太の部屋を飛び出して、今、一人で街を歩いている。
街には、眩いほどの光が溢れ、きらきらと輝いていた。
あーあ、何してんだろ、あたし。
虚しい気持ちが体中に充満していくのが分かった。
その場の勢い?
あんな事、言うつもりなかったのに。
一体、何人の恋人たちとすれ違ったんだろう?
今、あたしはひとり。
ひとりだけ、この幸せな街から浮いている。
あたしは、サンタが風船を配っているのを見つけた。
どっかのバイトか、店員さんのコスプレだと思う。
かなりうさんくさいけど、でも、本当のサンタクロースみたいだ。
幸せを配るサンタさん。
「あ~っ」
声をする方を見ると、子供がもらった赤い風船を手放してしまった所だった。
あたしは、風船の行方を目で追った。
どこまで行くんだろう。
風船はその内見えなくなり、冬の空へ消えていった。