パステルカラーの恋模様
振り返ると、そこにはサンタの帽子を被った啓太がいた。
「啓…っ!?」
「違うよ、サンタさんだよ」
「……」
啓太に抱かれたポポがワンっと鳴き、啓太は「やっと見つけた」と言って、どかっと隣に座った。
な、何で?
どうしよう、どんな顔すればいいの?
でも、戸惑いながらも、啓太が追いかけてきてくれる事を、期待していた自分がいた事に気づいた。
あたしは、ぐいっと涙を拭いて、顔をそむけた。
見えてないけど分かる。
今、啓太はあたしの事を見てる。
視線を感じる。
すると、啓太が街のざわめきに消え入りそうな声で呟いた。
「ね、美園。ごめんね」
「…何」
何で謝るの?
「嫌だった?キスしたの」
「…別に?」
だめだ。
どうしても、冷たい言い方になっちゃう。
ちらっと啓太の顔を見ると、少し寂しそうな表情で、指をいじっていた。
啓太、そんな顔しないで。
あたし、
啓太にそんな顔させたかったわけじゃないよ。