パステルカラーの恋模様
すると、啓太はふにゃっと笑って、首を後ろに垂らした。
「ふぃ~、よかった~!安心した」
「へ?」
啓太は優しい目で、あたしを見た。
あたしは拍子ぬけして、間抜けな顔をしてしまった。
“よかった”この言葉がこんなに嬉しいなんて。
拭っても拭っても涙は溢れてくる。
今度のは少し違う。
きっと51%、うれし涙。
通りすがる人たちが、あたしの事をちらちら見ている気がする。
でも、今はそんな事どうでもよかった。
啓太は、かぶっていたサンタ帽子を、あたしに強引に深くかぶらせた。
「やだ、いらないってば…」
「似合うよ」
「ダサいもん、これ」
「ダサいとか言うなし」
「もう…ふっ…はは、あはは…」
泣いてるの、庇おうとしてくれたんだね。
啓太の不器用な優しさが、心にじんわりと染みた。
ああ、あたしはやっぱり、今の関係を崩したくないよ。
このままがいいなぁ。
このままずっと、こんな風に笑いあえたらいいなぁ。
例え、ホンモノの彼女じゃなくても。
こうやって隣にいられるなら、それでいいじゃない。
もう、これ以上、何を望むの?