パステルカラーの恋模様

あたしが口を膨らますと、啓太は「ごめん、ごめん」と涙を拭きながら言った。


「裾んとこ、持ってて。何か美園、ホントに落ちそうだから」

「もう、落ちないってば~…」



…とか言いつつ、あたしは口をニヤけさせた。

そして、言われるまま、裾んとこをちょこんと引っ張った。



啓太は、「ん」と笑った。

その時、鮫島が「おっ!」と言って時計を見て叫んだ。



「あと2分で年明けじゃん!!」

「わっ、本当だ!」



明日香たちも振り返り、周りにいた他の人たちもその声を聞いて、ざわざわし始めた。



この一年、長いようで短かったな。

でも、今年は啓ちゃんと出会えたから、よかった。



楽しかった。



くいっと裾を引っ張ると、啓太は子供みたいにワクワクした表情で落ち着かない
様子。


あたしは思わず笑った。

こうして、一緒にカウントダウンできるなんて、幸せだよなぁ。



そんな事を思っている内に、年明けまであと20秒を切った。



「10…9…8…7……」




ウズウズと不思議な気持ちになりながら、皆でカウントダウンを唱えた。

その内、周りの人たちとも息が合い、カウントダウンの声はだんだんと大きくなった。


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