パステルカラーの恋模様
あたしの顔を見た鮫島の顔に、『シマッタ』って書いてある。
「あっいや!いや…あの~…」
あたしは、なぜか「もういいや」と言ってため息をついていた。
よく考えたら、別にコイツにバレたって別に害はないしな。
「鮫島、啓太のお母さん知ってる?」
「へ?あー、知ってるよ。何かぶっ飛んだ母ちゃんだよな」
「そう。その母ちゃんにアメリカに連れて行かれないように、啓ちゃんはあたしのこと、世話焼いてくれる彼女って紹介しちゃったの」
「へぇ?」
「で、三日に一回電話をくれと。今は一週間に一回くらいだけどね。お母さんたち、啓ちゃんが高校卒業したら、とりあえず日本に帰ってこれるみたいだから、それまで」
「つまり、期間限定の恋人契約?」
「yes」
あたしが頷くと、鮫島は異様に興奮して、「何、その設定。漫画?!」と驚いていた。
しばらくして、鮫島は何か頭で考え出した。
あたしは、そろそろ帰るかなと思いながら、足をぶらぶらさせていた。
「なぁ、でもそれ、現実的にちょっとありえなくね?つーか、おかしくね?だって別に電話だけ出てやりゃあいい話じゃん?実際啓の母ちゃんは日本にはいないんだし…お前、何?ボランティア?」
う…コイツの言ってること、意外と的を得ている。
「最初は…ボランティアだったのっ、かなり。啓ちゃんがね、もう、子犬のごとく可愛かったもんだから…つい、いいよって言っちゃって。それに、借り……」
「借り?」
あっぶなーっ!
この事だけは絶対言っちゃだめよ、あたし!