パステルカラーの恋模様
「そ、それに、啓太が…合鍵まで渡してくれてね?あたしも暇だし、ポポちゃんにも会いたくて、気がついたら啓ちゃんの家に通ってたって感じ」
「ほぉう~。何か複雑」
「でしょ?もう迷子の子猫ちゃんよ」
「子猫って柄じゃねぇだろ」
「いちいちうるっさいなぁ」
それよか、聞きたい事があるんじゃないの?美園。
あたしは、立ち上がって、池の傍に立った。
「ね、あんた勘いいみたいだから、聞いてもいい?」
「へぇへぇ、なんなりと」
「啓ちゃんは…まだ、愛美さんの事が好きなのかな。何で、あたしと一緒にいるんだろう?」
「……」
黙んな、バカ。
少しの沈黙。
「厳しい意見OK?」
「……なるべくオブラートに包んでね」
「正直、まだ引きずってる所はあると思う。昨日もあの動揺っぷりだし。でも、それはさ、誰だって元彼とか元カノに会ったら、動揺すんべ?それに…お前といる時のアイツ、すっげぇ楽しそうだし。だから、お前に好意を持ってるっつーのは本当だと思う」
「でも、好意にだって、色々あるじゃない」
「まぁ…。でも、お前、本当に啓と何もないの?一緒にいたら情も湧くだろうし、ちゅーの一つや二つ、しないの?」
鮫島が首だけこっちを向いた。
ちゅーはしたよ。一回ね。
でも、何でしたのか、聞けてないままだけどね。
でもあたしは敢えて言わなかった。
あたしは、しゃがんで、鯉を手で呼び寄せる。
鯉は餌だと思って、口をパクパクさせた。