パステルカラーの恋模様
「分かんない…。あたしだけ好きなんだもん。啓太は……ふっ、本当、啓ちゃんって何であたしと一緒にいるんだろう?あたしの事、好きでもないのに」
“演技うまくなったね!”
あたしはクリスマスを思い出して、小さく俯いた。
「でも、好きでもない奴に合鍵渡すバカいねーだろ。少なくとも、俺は嫌だ!好きでもないやつに合鍵渡すとか……」
「まぁ、それはあたしも思うのよ、ね」
嫌われてはない、というのは、当人のあたしだって分かる。
だから、あの日、期待して告白の言葉を喉に詰まらせてたんだ。
すると鮫島は、立ち上がって伸びをした。
「まぁ、あれだ!もしお前と啓太が運命の糸で繋がれてるなら、いくら元カノがあらわれようが、今は恋じゃなかろうが、いつか結ばれるって事じゃん。もし、それでも無理だったら、それは運命の糸はお前らを繋いでなかったって事だよ」
あたしは、一瞬考えた。
啓太の小指とあたしの小指を繋いでいる、赤い糸を。
繋がってれば、いつかは…。
「つまり、なるようになるって事。難しく考えると、頭クルッパーになるぞ」
「ぶはっ、何よ、クルッパーって。鳩?」
運命の赤い糸…。
あたしも恋する乙女みたいに、そんな迷信を信じても良いだろうか。
きっと繋がってると、信じても良いだろうか。
信じたい。
“きっと”じゃなくて、“絶対”に繋がってるって。