パステルカラーの恋模様
お茶を持ってきて、へへへっと笑って、ほくほくのたい焼きを頬張る啓ちゃん。
ふふっ、子供みたい。
あの日のファミレスの啓ちゃんは、あたしの知らない男の子って感じだったけど。
「美園は、たい焼き、頭から食べる方?それとも、しっぽ派?」
「あたし?あたしは…頭かなぁ~?そんなん考えたこともないや」
「俺も、頭」
たい焼きの向きを見ていると、自然と啓ちゃんの手に目が行く。
ごつごつしてて、男らしい手。
あたしは実はフェチだったりするわけで…。
あたしは、ぽいっと残りのたい焼きを平らげた。
「頭から食べた方が、福があるらしいよ」
「えっ、マジで?」
体を乗り出して、目をキラキラさせる啓ちゃん。
その衝撃で、お茶が湯のみの中でゆらゆら揺れた。
「あははっ!うっそ!今考えた」
「えっ!うう、信じたのに…」
「残念でした」
今、思った。
やっぱり啓太は運命とかそういうジンクスみたいなの、信じるタイプかもね。
おやつを食べて大満足なあたし達は、床のじゅうたんに寝そべった。
暖房がきいてて、ポカポカで、何だか眠たい。