パステルカラーの恋模様

お茶を持ってきて、へへへっと笑って、ほくほくのたい焼きを頬張る啓ちゃん。

ふふっ、子供みたい。


あの日のファミレスの啓ちゃんは、あたしの知らない男の子って感じだったけど。



「美園は、たい焼き、頭から食べる方?それとも、しっぽ派?」

「あたし?あたしは…頭かなぁ~?そんなん考えたこともないや」

「俺も、頭」



たい焼きの向きを見ていると、自然と啓ちゃんの手に目が行く。

ごつごつしてて、男らしい手。


あたしは実はフェチだったりするわけで…。



あたしは、ぽいっと残りのたい焼きを平らげた。



「頭から食べた方が、福があるらしいよ」

「えっ、マジで?」



体を乗り出して、目をキラキラさせる啓ちゃん。

その衝撃で、お茶が湯のみの中でゆらゆら揺れた。



「あははっ!うっそ!今考えた」

「えっ!うう、信じたのに…」

「残念でした」




今、思った。

やっぱり啓太は運命とかそういうジンクスみたいなの、信じるタイプかもね。





おやつを食べて大満足なあたし達は、床のじゅうたんに寝そべった。

暖房がきいてて、ポカポカで、何だか眠たい。


< 176 / 257 >

この作品をシェア

pagetop