パステルカラーの恋模様
「ね、美園」
「なぁに?」
「部屋を見てたらね。卒業アルバムが……」
卒業アルバム。
あたしは一瞬ギクッとした。
啓太は、寝起きの声でぼんやりと続ける。
「ケースと反対になってたんだよね。中身」
「そ、そう…」
しまった…。
あの時、慌ててたからな。
でも、待って?
あたしはもう元カノに会ってるんだし、卒業アルバムくらい見たって…。
「ごめん、勝手に見た。怒る?」
「いや、全然?ただ、俺の変な髪の写真あったなーって思って」
そっちかい。
「いいじゃん。可愛かったよ、啓ちゃん」
「男は可愛いって言われても嬉しくないよ」
「じゃあ、何て言って欲しい?」
「んー、ちょい悪とか、ダンディーとか?」
「ぶはっ!ダンディーって!おっさん?!」
啓太は「そう?」と首を傾げて、顎に手を当てて、わざとらしく煙草を吸うフリをした。