パステルカラーの恋模様

するとすぐに部屋のドアがノックされた。

あたしは慌てて目をこすった。


ドアが開いた。


「美園~?お風呂に入っちゃいなさい…って、何一人で笑ってんの、気持ち悪いわねぇ」

「えっあ~、何でもないよ。入るっ!」

「今日は、ピンクのバスボム入れたわよ」

「え~っ黄緑がよかったのに!」



あたしは精一杯笑って、部屋を出た。

明日、啓太にうまく笑えるかな。


あー…気が重たいなぁ。



お風呂に入りながら、あたしは、ふと考えた。

あたしと一緒にいたり、お祭り行ってくれたり、クリスマス一緒に過ごしてくれたり、キスしたり……。




あれって、何だったんだろう。

愛美さんを忘れるために、あたしと一緒にいて、無理やり恋にしようとしてたのかな。




だったら、あたしじゃなくても、誰でもよかったのか。

あたしがあの日、偶然、部屋にいたから、あたしだっただけで。




そうなのかな、そうだとしたら……




なんか、むなしいじゃんか。
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