パステルカラーの恋模様

そのキーホルダーは


恋は嫌だ。

直樹先輩の時も、啓ちゃんの時も。


何も見えなくなるのが嫌だ。

苦しいし、甘い恋なんて、ありえないよ。



始業式の日。あたしのテンションは何だかヘンで、きっと、そう。

あの日の、お酒飲んだ時みたいな、あの遊園地のから元気みたいな。


へらへら笑って、皆に挨拶しながら、教室に入った。



「おっす!明日香」

「あ、美園おはよう!」



明日香が笑って弾けるような声で、あたしを出迎えた。


あ、めずらしい。

今日の明日香は、おだんごなんだ。




「冬休みもあっちゅーまだったねぇ」

「ねー」



あたし達は、しみじみと教室内を見渡した。

半分くらいは、思い思いに喋くっていて、あとの半分くらいは、休みボケで、ぼーっとしたり、ぐーたらしたりしていた。



「もうしばらく、ロウテンションだわ、あたし」




明日香は、正月の時の事を聞いてこない。




王子と何かあったの?とかさ。

聞かれると思ってたのに。



わざと黙っててくれるのかな…?

だとしたら、本当にありがたい。



明日香は大人だなって思う。

きっとこれも、アネゴのポリシーの一つなのかもしれない。
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